監視国家 東ドイツ秘密警察に引き裂かれた絆

はなゆートーアカマタ

2005年11月17日 16:49

監視国家 東ドイツ秘密警察に引き裂かれた絆。

アナ・ファンダー著。伊達淳・訳。白水社。

価格:¥2,520 (税込)

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ベルリンの壁を越えようとした少女が歩む茨の道、旧体制に固執する元シュタージ幹部の驚倒の本音など、〈肉声〉が明かす管理社会の恐怖とは?世界が絶賛した、魂を震わす渾身のルポ!

東ドイツの秘密警察、「シュタージ」(国家保安省)は、国民生活のありとあらゆるところに監視の網を張り巡らし、そのすべてを膨大なファイルに収集していた。そればかりか、国民6.5人に1人が隣人を監視し、密告する側に立つという恐るべき体制を、「ベルリンの壁崩壊」まで維持していたのだ。

体制最後の日、シュタージ・ファイルは局員によってシュレッダーにかけられたが、それをつなぎ合わせる作業が現在、続いている。すべてつなぎ合わせれば180キロの長さに達し、修復作業は375年かかると言われている……。

本書は、シュタージに人生を狂わされた人びとにインタビュー取材し、全体主義国家における「超管理社会」の恐怖が肉声で明かされる、超一級のノンフィクションだ。

16歳のミリアムは体制に不満を感じ、友人と共にベルリンの壁を越えようと試みる。しかし、あと一歩のところで逮捕され、シュタージに厳しい尋問と残酷な拷問を受け、結局、刑務所に収監される。出所後に知り合って結婚した夫チャーリーも、西への逃亡未遂でシュタージに逮捕される。しかし突然、ミリアムのもとに夫の死亡通知が届く。愕然とした彼女は真相を追求すべく奮闘するが、死亡の理由は闇の中で、今は深い無力感に苛まれている……。

そのほか、旧体制に固執する元シュタージ幹部の驚倒の本音、恋人との仲を裂かれた女性の茨の道など。本書は、英国の優れたノンフィクション作品に授与される「サミュエル・ジョンソン賞」を受賞している。

▼ 著者略歴 ▼

ファンダー,アナ
1966年、メルボルン生まれ。国際弁護士、ラジオやテレビのプロデューサーとしても活躍。1997年にポツダムにあるオーストラリア・センター所属の作家。現在シドニー在住。『監視国家―東ドイツ秘密警察(シュタージ)に引き裂かれた絆』がサミュエル・ジョンソン賞受賞。


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